第5回シンポジウムについて

人間文化研究機構
理事
五味 文彦

 人間文化研究機構は人間の文化をさまざまな方面から明らかにすることを目指す大学共同利用機関です。今回は人間文化の重要な表現である手紙をとりあげました。日本の手紙の文化は大陸の影響を受けつつ、独自の発展をみてきました。それは手紙という名に見られるような手の延長、身体の一部としてとらえられてきたことと深く関係しており、また和紙というしなやかで強靱な材料に書かれたこととも関係しています。

手紙の要件としては、人と人とのやりとりから発する礼の問題があります。いかに意思を人に伝えるかという伝達の問題もあります。そしていかに外に洩れないかというの機密性の問題も考えられますが、日本の社会ではこれらをめぐって豊かな手紙文化が成長してきました。

そこでこのシンポジュウムでは、その手紙文化のありかたをとくに近代の社会のなかでとらえ、近代社会の知のありかたを探ろうと考えています。近代の郵便制度の導入とともに手紙の文化はどう変わったのか。文筆を業とする作家はどう手紙を書いたか。遊女にとっての手紙とは何であったか。幕末の学者や政治家の個性的な手紙の背景には何があったか。さらに戦後の占領軍のマッカーサーには膨大な手紙が寄せられたといいますが、それはどのようなものだったか。さまざまな角度から考えます。メールの文化が広がる現代社会において、それと深い関わりがある手紙の文化のありかたをともに考えてみましょう。

(平成18年年09月19日掲載)

※著者の肩書きは掲載時のもの

関連ページ: 

  • 第5回シンポジウムの記録