No.005 - 総合資料学の創成と日本歴史文化に関する研究資源の共同利用基盤構築

総合資料学の創成と日本歴史文化に関する研究資源の共同利用基盤構築

 

国立歴史民俗博物館(以下,歴博)の基幹研究プロジェクト「総合資料学の創成と日本歴史文化に関する研究資源の共同利用基盤構築」は,大学や博物館,他の研究機関と協働して,研究と日本の歴史資料の新しい関係を創り出しています。

総合資料学とは,主に歴史資料を多様な形で分析・研究するための学問です。多様な「モノ」資料を時代・地域・分野等によって分類し,分野を超えた視点から統合的に分析することで,高度な共同利用・共同研究へと結びつけます。これら,日本の歴史資料の活用により,人文学・自然科学・情報学の分野を超えた新たな日本史像の構築を目指す学問です。

この総合資料学構築のために,日本の歴史的資料をLinked Data(データをリンクでつないで資料情報をより豊かにするしくみ)やIIIF(画像を国際的に共同運用するための規格)によってデジタル化して情報基盤を構築するワークショップと情報基盤を活用した文理融合型研究を行うワークショップ,情報基盤と研究成果を教育や展示等に活用するワークショップの三つを構成して,研究を行っています。

歴博は,日本の歴史資料情報のデジタルネットワークを構築することを通じて研究資源化し,より高度かつ国際的に連携した研究を進めることを目指すため、総合資料学の取り組みにおいて国内外の関係機関との連携をとりわけ重視しています。デジタルネットワークの構築は,災害に備えた資料のバックアップにも役立ちます。また,資料情報の英訳をすすめ,海外の日本研究者や東アジア研究者が,日本国内の資料によりアクセスしやすくなる環境を整えています。

現在歴博では,全国の大学・博物館等の資料情報を収集するとともに,デジタル化,英訳などの工程を経て,日本全国の資料情報を必要とされる場所へ提供するための情報基盤を構築しています。公開の難しい資料についても,非公開情報としてバックアップすることで,万一の際には,資料の復元・修復等に必要な情報を提供することが可能となるのです。

 

国立歴史民俗博物館 メタ資料学研究センター

 

 

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国立歴史民俗博物館で行われたワークショップの様子(2016年6月5日)

 

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国立台湾歴史博物館と国立歴史民俗博物館の研究者が今後の連携について打ち合わせをする様子(2016年5月26日、台北)

 

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第27回日本資料専門家欧州協会の年会「日本資料図書館の国際協力」の様子(ルーマニアのブカレスト大学中央図書館、2016年9月14日~17日)