vol.42 - ハルオ・シラネ教授が第1回日本研究国際賞を受賞!

ハルオ・シラネ教授が第1回日本研究国際賞を受賞!

 

 この度、人間文化研究機構日本研究国際賞の第1回受賞者に選ばれたのは、日本文学・文化研究者として国際的に活躍されているアメリカのコロンビア大学東アジア言語・文化学部のハルオ・シラネ教授・学部長です。

 この賞は、人間文化研究機構がクラレ財団のご協力を得て今年(2019年)創設したものです。海外を拠点として日本に関する人間文化研究に学術上優れた成果をあげ、日本研究の国際的発展に貢献した研究者を受賞の対象としています。

 この度は、選考委員会を設置し、国内外の研究機関等から候補者の推薦を受けた上で、選考にあたっては国内外の有識者の方にもレビューをお願いするなど、厳密な選考を経て、第1回の受賞者が決まった次第です。

 ハルオ・シラネ教授(1951年生まれ、国籍はアメリカ)は、日本文学・文化の国際的な研究を牽引されてきた著名な研究者です。コロンビア大学で博士号(日本文学)を取得され、長くコロンビア大学で教鞭をとってこられました。

 The Bridge of Dreams: A Poetics of The Tale of Genji (Stanford University Press, USA, 1987)『夢の浮橋 『源氏物語』の詩学』(日本語版)や Traces of Dreams: Landscape, Cultural Memory, and the Poetry of Basho (Stanford University Press, USA, 1997)『芭蕉の風景 文化の記憶』(日本語版)などの著書で日本の古典研究に新地平を拓き、鈴木登美氏と共編の『創造された古典 カノン形成・国民国家・日本文学』(新曜社1999)では、古典を後代の歴史文化の中に位置づけ、その後の研究に大きな示唆を与えられました。さらに、著書Japan and the Culture of the Four Seasons: Nature, Literature, and the Arts (Columbia University Press, USA, 2012) 『四季の創造 日本文化と自然観の系譜』(日本語版)では、環境・自然と日本文化に新しい視角を提示されています。著書は邦訳され、日本の研究者にも大きな影響を与えているほか、他の言語にも翻訳されるなど、広く世界の日本研究に多くの研究成果を提供されています。

 また、日本文学を研究する海外の研究者が初めに頼みとする、古代から近世までの日本古典文学の英訳アンソロジーを編まれたほか、英語版の古典文法の教科書や古語辞典も刊行されるなど、欧米その他世界における日本文学の研究・教育に多大な影響を与えてこられました。育てられた多くの教え子は、今は世界各地の大学の研究者となり、多方面で活躍し日本研究をリードしています。さらに、こうしたネットワークを活かして、コロンビア大学を中心に国際的な学会などを主催して、日本文学・文化研究の国際的な展開に大きく貢献されてきました。

 こうした学術上の優れた研究成果や日本研究の国際的発展への幅広い貢献から、ハルオ・シラネ教授が第1回の日本研究国際賞の受賞者となりました。この受賞の決定をお伝えしたところ、大変喜んで受けとめていただきき、私たちとしてもこの賞の価値が高まったように感じました。2019年12月には、授賞式が東京の日本学士院で行われる予定です。ハルオ・シラネ教授のような素晴らしい方に受賞が決まったことを受けて、今後の日本研究の国際的展開がさらに盛んになることを、期待したいと思います。

文責:人間文化研究機構理事   佐藤 信

 

 

ハルオ・シラネ教授の単著や編著の一例

ハルオ・シラネ教授が編まれた英訳アンソロジーなどの一例