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研究資源共有化推進事業のシステム開発経緯

はじめに

2008年4月、人間文化研究機構の研究資源共有化システムが一般公開されました。人文研究資源共有化推進事業として、第1期として2005年度より3ヶ年に渡って、システム開発とその環境整備が進められてきたものです。

このシステムでは、機構を構成する6研究機関(国立歴史民俗博物館、国文学研究資料館、国立国語研究所、国際日本文化研究センター、総合地球環境学研究所、国立民族学博物館)が提供する100を越えるデータベースを一括して横断検索to the Dictionaryすることができます。また、個々のデータベースが持つ時間・空間の情報を用いて、統合的に検索し、表示する機能を実現しています。 このシステム環境を、研究資源共有化システムにおける「nihuINT(統合検索システム)」と呼んでいます。nihuINTシステムの開発に当っては、人文科学の多種で多数のデータベースを横断検索する方法、そのユーザインタフェース、多様な時間・空間情報の扱いとその知識ベースの構築など、幾つかの課題を解決してきました。
ここでは、nihuINTの考え方や構成などについて述べます。nihuONEシステムGTA:Geo-Temporal AnalyzerシステムGT-Mappdf,GT-Timepdfについては、それぞれの項をご覧ください。

システム開発

第1期

第1期のシステム開発の経緯を以下にまとめます。

(1) 2005年度

先行実績[1][2]を踏まえ、トータルな技術基準を評価するための実証実験を行いました。資料招請と意見招請を行い、要求仕様を確定し,基本設計を行っています。

(2) 2006年度

基本システムの開発と実装を行い、評価のための試験運用および実証試験を行いました。入札により、インフォコム社のInfolibを主とするシステムをベースに、nihuINTの骨格を完成しました。5機関のメンバからなるタスクフォースや、実務者から成る作業チームを組織し、システム開発を進捗し、また運用の実際と管理体制の確立をはかっています。

(3) 2007年度

研究資源共有化システムの機能拡充として政府調達を行いました。主たる追加機能は、5W1Hならびに時空間メタデータの追加、GTAto the DictionaryのWebプラグインの実装などです。5機関の利用者モニタによる評価を行いました。

試験、評価

各機関2名以上の研究者及び大学院生(計13名)による実利用による評価試験を、2007年10月に実施しました。それぞれ専門の立場から2週間ほどの利用を行い、意見などの集約を行いました。結果は満足できるものとの評価でした。いくつかの課題も指摘され、システム機能拡充の一環として組入れました。以下に概要をまとめます。

(1) データベース利用

OPACto the Dictionaryなどはよく使うが、専門領域のデータベースは何があるかも分からない状況であり、機関を越えた利用はほとんどない。

(2) 資源共有化

資源共有化については知っているが、実態は知らない。ただし、期待度は高い。

(3) 横断検索

検索カテゴリが5つあり、その違いが分からないので、専門的な検索に結びつかない。一方、思いがけずに他機関の関連データベースから情報が得られ、新たな知見が得られたとする評価もいくつかありました。

(4) 使い勝手

使い勝手の評価は良好であった。検索カテゴリ毎の同一キーワードで、検索結果が異なるとの評価があった。メタデータのマッピングの差異が原因ですが、統合指向ケースと個別指向ケースがあり、現時点では断定は困難でした。

(5) 操作性

操作性、画面遷移、結果表示などは充分とされました。語彙ではなく、同一概念で検索し結果を得たい、あるいは外字を含む検索の希望があります。原データベースto the Dictionaryへのリンクは重視した要件ですが、やはり利用者の指向は高いものがありました。

(6) 研究・教育

今後、とくに教育における利用として、機関をまたぐ情報資源の共有は必然である。GTAto the Dictionaryによる新しい利用法に期待度が高い。

(7) その他(意見など)

・各機関で個々に造られたDBは、それ自体が思想であり研究成果だが、個別DBから離れた横断検索に意味があるか。

・個々の機関の専門性を活かした個性的で新規性のあるデータベース構築を充実させるべき。

・史料編纂所や東京文化財研究所など機構外にも拡張すべきである。

・表示されるメタデータの内容がデータベースによってかなり異なる。

終わりに

モニタ評価による様々な指摘は、可能な限り機能拡充として実装しました。ただし、積残しの課題もあり、次期計画などに委ねることとしました。今後の展望としては、機関のデータベースの充実が不可欠です。既存データベースの高次化はもとより、未公開のものの整備、さらに種類を増やすことも必要です。ただし、かなりな予算措置を伴います。また、他研究機関などとの接続を進めなければなりません。人間文化研究機構は人文科学の一部をカバーするに過ぎないので、関連する国内の研究機関、さらに海外の研究機関などとの連携が不可欠です。これも、次年度以降の大きな課題です。

本事業は、石井米雄機構長、朝岡康二理事の指導の下に進められました。また、人間文化研究機構の資源共有化検討委員会、タスクフォースメンバの方々を始め、関係される多くの方々の献身的な努力により、実現が図られてきました。深く感謝いたします。また、インフォコム株式会社、デスクロージャ・イノベーション社など多くの企業の協力によるところも大きく、合わせて深謝します。