vol.55 - お家から人間文化研究機構:コロナ時代に合わせた新しい形の講演会と展示

お家から人間文化研究機構:コロナ時代に合わせた新しい形の講演会と展示

 

新型コロナウイルスの感染拡大によって、大勢での飲み会やカラオケといったこれまで当たり前のように行えていたことが制限され、新しい生活様式が多方面で模索されています。不特定多数の人が集まる講演会や対面で人々が交わる展示も例外ではありません。そんな中、人間文化研究機構を含む4つの大学共同利用機関法人が毎年開催するイベント「大学共同利用機関シンポジウム2020」が2020年10月17日(土)と18日(日)の2日間にかけて、オンライン上ではじめて開催されました。

初日の目玉は、最新の研究成果について研究者が話題を提供する研究トーク。人間文化研究機構からは3名が登壇しました。まず、ロバート・キャンベル国文学研究資料館長兼人間文化研究機構副機構長による機構の説明です。人間文化研究機構を構成する6つの研究機関の特徴や機構本部で取り組まれている事業について紹介しました。次に、「新型コロナウィルス(COVID-19)問題と気候変動問題―「緑の回復」による同時解決へ―」と題して、安成哲三(やすなり てつぞう)総合地球環境学研究所長は、地球温暖化の原因は、人間の活動によって生じた温室効果ガスであり、私たちがこれからどのような選択をするかによって将来の地球の気候状態が変わると話しました。そして、コロナ禍によって私たちの行動が制限された結果、2020年の1月から4月末までの二酸化炭素の排出量が世界的に減少傾向にあるという最新の研究成果に触れて、この研究成果の意味するところはその気になれば温室効果ガスを減らせるということだ、と訴えました。最後に国際日本文化研究センターの磯田道史(いそだ みちふみ)准教授が「日本史のなかの疫病」というテーマで、日本最古の疫病の記述が日本書紀の崇神天皇即位5年目であると考えられていることや大正時代に世界的に流行したスペイン風邪(インフルエンザ)の記述を紐解くと今回の新型コロナウイルス感染症に関するさまざまな教訓、たとえば、政治家は早く集会の禁止を解除したがる傾向にある、などが導けると話し、当時の状況について書かれている公的な記録や市民の日記など、一次資料を読み考察することの大切さを説きました。

2日目は、来場者が展示の出展者とオンラインで交流できる工夫が施されました。来場者と出展者それぞれがさまざまなアバターに変身して、21の機関が出展しているオンライン展示場に入場するというものです。オンライン展示場では、場内を自由に歩き回り、カメラやマイクをオンにして、出展者や他の来場者とオンラインで会話したりすることができます。人間文化研究機構の展示スペースでは、機構が独自に養成し、6つの機関に配属している「人文知コミュニケーター」の活動を動画を用いて紹介しました。また、実際に来場者が人文知コミュニケーターや機構本部のスタッフと会話を楽しめる時間も複数回設け、参加者との交流が図られました

初めてオンライン開催が行われた大学共同利用機関シンポジウム。事前申し込みは2000名程度、日本各地をはじめ海外からの参加登録も見られたと、喜連川優(きつれがわ まさる)国立情報学研究所長。新型コロナウイルスによって、これまでとは異なる形式で講演会や展示を実施せざるをえませんでしたが、オンライン開催したことで、住んでいる国や地域に縛られることなく、お家から参加できるイベントとなりました。

 

オンライン上の展示場。来場者と出展者はそれぞれアバターと化して入場する。場内では展示を閲覧し、出展者の解説をリアルタイムで聞きながら交流できる。

 

人文知コミュニケーターが来場者と交流している様子。画像と音声でやりとりできる。

(文:高祖歩美)

関連リンク
展示(ウェブサイト版)
人間文化研究機構本部の展示「人間文化の新たな価値体系の創出をめざして
国立歴史民俗博物館の展示「歴博がみせるオンラインの資料たち
国文学研究資料館の展示「古典に親しむ
国語研究所の展示
自宅で学ぶ言語学~ことばって、おもしろい!~
(1)カルタ・辞書・絵本
(2)軽く学びたい方へ
(3)レクチャーシリーズ
国際日本文化研究センターの展示「おこしやす日文研
総合地球環境学研究所の展示「みてみて!ちきゅうけん
国立民族学博物館の展示「みんぱくバーチャルミュージアム