vol.021 - 海の向こうの日本文化 ‐その価値と活用を考える-

海の向こうの日本文化 ‐その価値と活用を考える-

 

人間文化研究機構

総合情報発信センター研究員 菊池百里子

 

 シーボルトが日本で収集し、ヨーロッパに持ち帰った膨大な美術工芸品など、海外の研究機関等には多くの日本の歴史的資料が収蔵されています。これらの日本関連在外資料の調査研究をすすめるため、人間文化研究機構では、日本関連在外資料調査研究・活用事業として4つの研究プロジェクトと、これら研究成果の活用促進をはかる統括班を立て、研究を推進しています。

 この事業では、海外にある日本関連の史資料の存在を日本国内でも知ってもらい、関係する地域で活用していく方策を考えるシンポジウム、「海の向こうの日本文化 ‐その価値と活用を考える-」(第30回人文機構シンポジウム)を2017年6月3日、九州大学西新プラザで開催しました。

 シンポジウムでは、冒頭で統括班の稲賀繁美教授(国際日本文化研究センター)から各プロジェクトの紹介があったのち、4つの在外プロジェクトの成果のうち、九州各地に関係する最新の研究成果の講演がありました。

 最初に、ハーグ国立文書館所蔵平戸オランダ商館文書の調査研究成果からオランダ人と平戸の人々との最初の出会いと友情について紹介したフレデリック・クレインス准教授(国際日本文化研究センター)の講演がありました。続いてバチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書にある江戸時代の禁教政策関連文書の紹介と、その研究の展望について大友一雄教授(国文学研究資料館)の講演がありました。その後、シーボルトが収集した長崎くんちの船頭衣装の調査研究から、その製作年代と歌舞伎衣装との関係について澤田和人准教授(国立歴史民俗博物館)の講演がありました。最後に、アメリカ大陸に移住した日本人らによって継承された日本の言語文化とその特徴について朝日祥之准教授 (国立国語研究所)の講演がありました。

 パネルディスカッションでは、パネリストとして稲賀繁美教授のほか、佐野真由子教授(国際日本文化研究センター/長崎県立大学)、岩崎義則准教授(九州大学)、佐藤晃洋課長(大分県文化課)、河野まゆ子主任研究員(JTB総合研究所)ら研究者や行政、観光業界関係者が、司会として菊池百里子研究員(人間文化研究機構)が登壇しました。日本関連在外資料の日本における学術的位置づけや、世界的な価値を持つ資料を地方の魅力として発信することの重要性、観光資源として活用するときのポイント、そして研究成果と社会とを繋ぐ学芸員の重要性など、多方面から研究成果の発信、共有のあり方について、また地域振興に資する研究成果の活用の方法についてともに考えました。

 このシンポジウムの様子は、YouTube (https://www.youtube.com/watch?v=rvIYXBaLfXc&t=5908s)で視聴できます。

 

nihu_magazine_021_0.jpg

シンポジウムの様子