機構長あいさつ

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現在、世界各地において、戦争・環境・都市・宗教・民族・生と死など、社会的、精神的な問題は、人間の根源的崩壊さえ招きかねない状況にあります。「人間とその文化を総合的に探求する学問」と定義される人文学が今、その存在意義を問われています。しかしながら、日本国内の大学等研究機関の人文学研究分野は、科学技術偏重のなか、きわめて厳しい状況下におかれています。

人間文化研究機構は「人間文化研究」のもとに結集する文理の300名を超える国内最大級の研究者集団として、大学等研究機関における人文学の発展に貢献する重要な使命が託されており、その責務はきわめて重いものがあります。人文機構は、この重要な使命を果たすため、2016年4月から始まった機構第3期中期目標・計画において、人間文化の新たな価値体系の創出をめざして、人文機構を構成する6機関と国内外の大学などの研究機関、さらに地域社会・産業界などと広領域連携する新たな研究システムを構築し、現代的課題の解明に資する17の「基幹研究プロジェクト」を立ち上げました。

日本の人文学が世界に向けて発信できる意義あるコンセプトは「真の豊かさを問うこと」「自然と人間との調和」そして「平和の創出」であろうと考えます。人間文化の新たな価値体系として、この3つのコンセプトこそが人文機構の基幹研究プロジェクトをはじめとする学術研究のこれからの目標といえます。

そのような展望を見すえて、人文機構は日本における人文学推進の中核的役割を果たさなければなりません。そのためには機構を構成する6機関が独自の学問領域において、蓄積した文化資源とネットワークによって最先端研究を推進することにより、国内外における中核拠点の地位を確立する必要があります。人文機構はそれらの最先端研究の新展開モデルの構築プロセスと成果を、日本列島各地で大学等研究機関と連携し、学界や地域社会に公開するとともに、国際発信をより一層推進し、人文学の存在意義を国内外で高めていきたいと思います。

 

皆様のご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

 

 平成30年4月

 

大学共同利用機関法人
人間文化研究機構
機構長 平川 南