vol.000 - ジャポニズムの先駆けとなったシーボルト

ジャポニズムの先駆けとなったシーボルト

 

ヨーロッパがジャポニズム、日本趣味に沸いていた19世紀後半、ルネ・ラリックはテッポウユリなど日本の園芸植物をモチーフにした作品を数多く発表しました。日本に来たことがなかったラリックは、どのようにして日本の植物を知ることができたのでしょう。
日本が外国人の出入を制限していた江戸時代後期に2回(1823 – 1829、1859 - 1862)日本に滞在したドイツ人医師、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトは、膨大な美術工芸品や植物などをヨーロッパに持ち帰りました。彼のコレクションは、ライデンの国立民族学博物館やミュンヘンの五大陸博物館などで鑑賞できます。また彼が持ち帰った植物は、ヨーロッパ各地に運ばれ、日本植物の園芸ブームをひきおこしたのです。そして、その後ジャポニズムのブームが到来すると、エミール・ガレやルネ・ラリックといったアール・ヌーボーの芸術家の関心を集めていったのです。
人間文化研究機構(略称:人文機構)では、2016年1月30日、第27回公開講演会・シンポジウム「没後150年 シーボルトが紹介した日本文化」を東京で開催しました。これは、人文機構の「日本関連在外資料の調査研究」事業において、国立歴史民俗博物館(略称:歴博)が中心となって推進している「シーボルト父子関係資料をはじめとする前近代(19世紀)に日本で収集された資料についての基本的調査研究」プロジェクトの成果をまとめたものです。シンポジウムでは、ヨーゼフ・クライナーボン大学名誉教授・法政大学国際日本学研究所客員所員や大場秀章東京大学名誉教授、松井洋子東京大学史料編纂所教授らが、日本文化の紹介・受容の歴史やシーボルトが運んだ植物、その後のジャポニズムへの影響などについて講演しました。
研究プロジェクトでは、2016年3月にミュンヘン五大陸博物館が収蔵しているシーボルト・コレクション約6,000点の画像付きデータベースを歴博のホームページ上で公開する予定です(データベースれきはく)。
また、これまでの研究成果は2016年7月12日から歴博の企画展示「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」で展示されます。8月13日土曜日には、第391回歴博講演会「シーボルト・コレクションにおける漆工芸」も開催されます。歴博のくらしの植物苑では、ライデン大学付属植物園から寄贈されたシーボルト・チルドレン(シーボルトがオランダに持ち帰った植物の種子から育った苗木)が生育され、鑑賞できます。

NIHU symposium “Siebold’s Introduction of Japanese Culture: Commemorating the 150th Anniversary of His Death”[January 30, 2016,TOKYO]
第27回公開講演会・シンポジウム「没後150年 シーボルトが紹介した日本文化」

Study of Japanese artifacts at the Museum Five Continents in Munich
ミュンヘン五大陸博物館で日本関連在外資料を調査する様子