vol.012 - バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書調査研究・保存・活用

バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書調査研究・保存・活用

 

16世紀中ごろに来日した宣教師フランシスコ・ザビエルは、日本の各地で布教活動を行い、キリシタン大名も増えていきました。豊後(現在の大分)を拠点とした戦国大名大友宗麟も、キリスト教布教活動を保護し、臼杵に聖堂や修道院を建設するなど、豊後は日本のキリスト教布教の一大拠点となりました。豊後で4年間を過ごした宣教師ルイス・フロイスは、『日本史』の中で臼杵におけるキリシタン達の熱心な布教や信仰の様子を紹介しています。また臼杵市下藤地区では、ほぼ完全な姿のキリシタン墓地が発掘調査によって確認されています。

江戸時代になると幕府は禁教令を発し、キリシタンの取り締まりを徹底したため、多くのキリシタンは仏教徒へ改宗しましたが、中には偽装棄教して密かに信仰を貫いた潜伏キリシタンもいました。

2011年、ローマ教皇庁バチカン図書館から、江戸時代を中心とする古文書、約1万数千点が発見されました。1930~40年代に大分や臼杵に滞在したイタリア人神父マリオ・マレガ氏が当地で収集した古文書類であり、江戸時代の宗教統制に関する最大規模の史料群です。人間文化研究機構の基幹研究プロジェクト「バチカン図書館所蔵マリオ・マレガ収集文書調査研究・保存・活用」(以下、「マレガ・プロジェクト」)は、これらの古文書の整理と調査研究をバチカン図書館や大分県と共同ですすめています。

2017年3月5日に臼杵市でマレガ・プロジェクトが主催する公開研究会が開催されました。はじめに、プロジェクト代表の大友一雄氏(国文学研究資料館)から研究会の趣旨説明があったのち、神田高士氏(臼杵市教育委員会)から「キリシタン墓碑の様相から見たキリシタン統制」という報告があり、下藤地区キリシタン墓の形から、禁制下における臼杵のキリシタン統制について報告がありました。続いて、シルヴィオ・ヴィータ氏(京都外国語大学)から「マリオ・マレガ氏の二つの故郷~イタリア系宣教師の生涯が語るもの」と題して、マレガ神父の生い立ちから日本での生活、度重なる戦争体験が彼に与えた影響などについて報告がありました。

ディスカッションでは、キリスト教の信仰が盛んだった臼杵におけるキリシタンへの宗教統制の実態について、長崎との比較も交えて活発な議論が行われました。

厳しい禁教令下にあって、なぜ下藤キリシタン墓が完全な形でのこされていたのか。臼杵藩はキリシタン墓をどのように見ていたのか。マレガ文書の解読がすすむことで、臼杵藩による江戸時代の宗教統制の実態が解明できると期待されています。

なお、2017年6月3日には、福岡の九州大学西新プラザにて、マレガ・プロジェクトを含む、人間文化研究機構 基幹研究プロジェクト「日本関連在外資料調査研究・活用事業」の成果を関連する地域方々と共有するための公開シンポジウム、第30回人文機構シンポジウム「海の向こうの日本文化―在外資料の価値と意味を考える―」が開催されます。

 

 

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臼杵市野津町「下藤キリシタン墓地」