人文知コミュニケーターを紹介します メディアから《アイデンティティー》を考える 国立歴史民俗博物館 アルト ヨアヒム 私達は何に基づいてアイデンティティーを創りますか?例えば「〇国の国民は○○である」のような考え方は主に18世紀に生まれて、現代社会に大きく影響を与えています。そして、多様なメディアが国民のイメージを複製し、それらのイメージを私達のアイデンティティーの一部として定着させます。私はそこで、「平和国家日本」と日本アニメに描かれた戦争を調査して、アニメおよび日本の「戦争記憶」についての理解を深めていきたいです。 《和書》の豊かさを伝える 国文学研究資料館 粂 汐里 古典文法がわからなくても、古典は楽しむことができます。 身構えずに、単純に、古典を知りたい、読みたい!と思っていただけるよう取り組んでいます。 《表記》から日本語を考える 国立国語研究所 岩崎 拓也 文章を書くときに使う読点「、」や句点「。」、カッコなどの日本語の表記にかんする研究をしています。たとえば、句読点は文章の種類によって使われ方が違うため、人によって個性が目立つ箇所です。また、カッコの使い方も学校教育で学ぶ使い方とは異なる使い方が一般的になっています。みなさんと見やすくわかりやすい表記を考え、その結果をわかりやすく伝えていきたいと思います。 《宗教空間》という〝アーカイヴ〟で伝える 国際日本文化研究センター 郭 佳寧 宗教儀礼は関連諸位相が統合的に機能する空間で執り行われるものです。宗教儀礼とそれを執行する空間は信仰と文化を記録、あるいは記憶する〝アーカイヴ〟とも言い換えることができるでしょう。そのような宗教空間に表象される豊かな中世日本の〝アーカイヴ〟を究明することを通して、当時の人々の心性や世界観を可視化し、時空を超えて現代の皆さんにわかりやすく伝えていきたいと思います。 《映像》で伝える 総合地球環境学研究所 金 セッピョル 人文学のコミュニケーションは、一方的に何かを教えるのではなく、聞く人・観る人の意見や視点を生かすことが大事だと考えます。そこで私は映像を、完成した作品ではなく、たくさんの人たちの意見を聞くための装置だと考えています。 映像づくりにおいては、あえて結論を示さず、観る側の多様な解釈を導けるようにしています。 《民俗芸能》で人をつなげる 国立民族学博物館 神野 知恵 日本と韓国の民俗芸能、民族音楽について、自分の身体で学びながら研究し、公演やワークショップの企画を通じて一般社会に紹介してきました。芸能は演じる人、支える人、楽しむ人がいてこそはじまるもの。その「つなぎ手」となる研究者を目指します。