人文知コミュニケーターを紹介します メディアから《アイデンティティー》を考える 国立歴史民俗博物館 アルト ヨアヒム 私達は何に基づいてアイデンティティーを創りますか?例えば「〇国の国民は○○である」のような考え方は主に18世紀に生まれて、現代社会に大きく影響を与えています。そして、多様なメディアが国民のイメージを複製し、それらのイメージを私達のアイデンティティーの一部として定着させます。私はそこで、「平和国家日本」と日本アニメに描かれた戦争を調査して、アニメおよび日本の「戦争記憶」についての理解を深めていきたいです。 《和書》の豊かさを伝える 国文学研究資料館 粂 汐里 古典文法がわからなくても、古典は楽しむことができます。 身構えずに、単純に、古典を知りたい、読みたい!と思っていただけるよう取り組んでいます。 《ことば》を伝える 国立国語研究所 横山 晶子 私は「今何もしなければ、近い将来話者がいなくなってしまう」危機言語の文法記述・記録・継承研究をしています。危機言語の研究は、その学問的な価値はもちろんですが、「成果をいかに地域社会と共有していくか?」「どのように地域の方々と協働できるのか」を意識することの多い分野です。一方的な研究・成果還元ではなく、社会と研究者が双方向にコミュニケーションを取りながら、お互いにとってより意義ある研究、広がりのある研究を模索していきたいと考えています。 《読む》ことで考える 国際日本文化研究センター 駒居 幸 日本の現代文学について、女性と労働の表象に注目しながら研究を進めてきました。今の研究を始めた背景には、私自身が民間企業や大学で働く中で、文学作品を読むことが “「社会人」にとっての〈社会〉ってなんだ?” と自分と社会の関係を考え直すきっかけになったという経験があります。文学作品を読みながら、自分が生きて、働いて、日々を過ごしているこの社会についても読み解く……そんな営みを広く生み出せるような活動をしていきたいと思っています。 《映像》で考える 総合地球環境学研究所 澤崎 賢一 私にとって人文知とは、社会と研究の現場をつなげると共に、私たちが「この世界でどのように生きていくべきか」をさまざまなバックグラウンドの人たちと共に考え、実践していくことです。 私は《映像》を活用して、この「問い」について考えるための場を創出するために、学術研究や芸術・社会実践など特定の領域に縛られず、かつ両者を関係づけながら、それらを並行して実践するさまざまな学際的なプロジェクトに取り組んでいます。 《民俗芸能》で人をつなげる 国立民族学博物館 神野 知恵 日本と韓国の民俗芸能、民族音楽について、自分の身体で学びながら研究し、公演やワークショップの企画を通じて一般社会に紹介してきました。芸能は演じる人、支える人、楽しむ人がいてこそはじまるもの。その「つなぎ手」となる研究者を目指します。