人文知コミュニケーターのメンバー紹介
ラディティヤ ハリマワン ヌラディ(らでぃてぃや はりまわん ぬらでぃ)
所属機関:国立歴史民俗博物館
専門分野:宗教学、日本学、ポピュラーカルチャー研究、文化人類学
就任年月:2025年7月
モノを通して《物語》を伝える
私の専門は現代日本宗教であり、特に宗教とポップカルチャーの関係性を研究しています。聖地巡礼という儀礼を事例に「場所」「モノ」と「物語」は如何なる形で結びついているのか、またはその結びつきにより生まれた「意味」はなんなのかをエスノグラフィーを通して研究しています。また、日本学という枠ではこのような「巡礼」の現象からは日本と世界はどういうふうに繋がっているのかを学際的に考えています。「宗教」という言葉は現代日本社会ではあまり馴染みのない言葉ではありますが、研究を通してその言葉の意味と認識を広げていく事が出来ればなと思います。
河田 翔子(かわた しょうこ)
所属機関:国文学研究資料館
専門分野:中世説話文学、特に古記録・古注釈にみえる説話的要素の研究
就任年月:2024年6月
《和書》の魅力を伝え、人と人とをつなぐ
私は中世説話文学を専門としています。「説話」とは〈神話・伝説等の口承・書承で伝えられてきた様々な話の総称〉で、人々が長い歴史の中で大切に語り伝え・書き伝えてきたものです。説話には、それを伝えてきた当時の人々の想いや思想が反映されています。つまり、説話を読み解くことで、何百年も昔の人と心をかよわすことができるのです。
《和書》すなわち日本の古典籍には、説話のほかにも多種多様な文学作品が収められています。豊かな《和書》の世界の魅力を伝え、時代やジャンルを超えて、人と人とをつなぐことができるような活動をしていきたいです。
劉 洋(りゅう よう)
所属機関:国際日本文化研究センター
専門分野:中近世東アジア海域史、捕虜/奴隷移動史、宣教師
就任年月:2025年11月
《海域》から人の物語をつなぐ
私の専門は、中世から近世にかけての東アジア海域を舞台とした「人の移動」の歴史です。とくに、戦争や海難によって国境を越えて移動することになった「被虜人」や「奴隷」と呼ばれた人々が残した記録に着目し、その経験から、当時の社会がどのように異文化と向き合い、交わっていたのかを読み解いています。彼らの記した言葉には、国家や外交史の表舞台には現れない、無名の人々の出会い·衝突·交渉の物語が息づいています。海を越えた偶発的な接触は、ときに文化理解を深め、ときに誤解や葛藤を生みながら、日本·中国·朝鮮などを取り巻く《海域世界》を形作ってきました。そうした複雑で豊かな歴史のダイナミズムを、学術の枠を越えて社会へ届けることが私の大きな目標です。人文知コミュニケーターとして、多言語史料や海域史研究の魅力を《物語》として紡ぎながら、一般社会と学術研究をつなぎ、海の向こうからやってきた無数の人の声を、現在を生きる私たちにつなぐことで、より多様な視点で世界を捉え直すきっかけを共有していきたいです。
澤崎 賢一(さわざき けんいち)
所属機関:総合地球環境学研究所
専門分野:芸術実践論(キーワード:現代美術、ドキュメンタリー映画、マルチモーダル人類学、超学際、環境人文学、イスラームなど)
就任年月:2023年7月
《映像》で考える
私にとって人文知とは、社会と研究の現場をつなげると共に、私たちが「この世界でどのように生きていくべきか」をさまざまなバックグラウンドの人たちと共に考え、実践していくことです。
私は《映像》を活用して、この「問い」について考えるための場を創出するために、学術研究や芸術・社会実践など特定の領域に縛られず、かつ両者を関係づけながら、それらを並行して実践するさまざまな学際的なプロジェクトに取り組んでいます。
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工藤 さくら(くどう さくら)
所属機関:国立民族学博物館
専門分野:宗教人類学、ネパール研究、食文化
就任年月:2024年2月
モノをつなげて《世界》を伝える
私の専門は宗教人類学で、ネパールで人びとの暮らしに共に関わりながらその意味や時代の変化について記録を続けています。みんぱくには創設以来、世界中のさまざまなモノや人びとのくらしに関わる情報が集められてきました。時代を経てそれらはデジタルアーカイブとして情報化され、日本だけでなく世界中の教育機関や研究者の研究活動に活用されています。モノをつうじて《世界》で起こっている多様な動きにつながっていく、博物館機能をもつ研究機関としてその発信に貢献していきたいです。
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