Vol.2 機構長戦略室での検討課題(2024.2)

機構長戦略室だより

2024年2月

Vol.2 機構長戦略室での検討課題

令和5年度の機構長戦略室での検討課題を以下の3つに絞ることにしました。
 ○ 研究者データの整備・活用
 ○ 広報体制、メディア対応の強化
 ○ 研究大学コンソーシアムへの対応

 このうち、最も緊急度が高いのは、研究者データの整備・活用です。どのような組織も同じだと思いますが、組織の改善は、そこに属している人がどのような人で、どのような業務を行っているかを把握することから始まります。人文機構のような研究機関では、研究者の研究活動にそれが反映されています。そのため、研究者データの整備は、機構にとって不可欠なのです。では、どのようなデータをどのようにして集めるか。

データの収集は、

・ 手間がかからず

・ 必要で正確な情報が漏れなく収集でき(必要な情報は状況によって変化しますが、その時点での必要な情報)

・ 組織内で統一された方法で

・ 他の組織(大学・研究機関)との比較分析が可能な形で

行うのが理想です。

 人文機構には6つの機関があり、それぞれ、専門分野や研究のスタイル、研究や事業の内容が異なります。そのため、これらの条件を揃えてデータを集めることが、これまで実施できていませんでした。そこで、機構長戦略室では研究者データの整備を最優先課題として、検討してきました。

 研究者データの活用の可能性は、多様です。自己点検・評価、機構の外部評価、法人評価、人文系評価などのさまざまな評価の基礎データとなるのはもちろんのことですが、それだけでなく、広報の強力な材料となります。広報については、これまで各方面から、人文機構は広報が下手だというご意見をいただいてきました。人文機構や各機関では、きちんと広報しているつもりでも、それがうまく伝わっていない。その原因が何なのか、これから分析しなければならないと考えていますが、一つには、誰に対して、どのように発信するかが明確でなかったのではないかと思います。それを明確化するためにも、研究者データを分析して、それをどう広報に繋げていくのかを研究する必要があります。

 これまで、評価は評価、広報は広報、というように、別々にデータを収集していましたが、それらを一つのデータベースに集約して、評価にも広報にも活用することにより、新しい発想が生まれるのではないかと思います。

 このような考えから、機構長戦略室では半年間にわたり、研究者データの整備・活用に取り組んできました。最初は、各機関の現状を知るために、機関との意見交換を特任研究員が行い、それをまとめることから始め、次に、どのような形でデータを収集するのがよいか、議論しました。そこで出てきた課題が次のようなものです。

・ 研究者データを収集する方法として、どのようなフォーマットを利用するか。

・ 展示の企画・実施、図録・記録作品等の作成に関する研究情報をどう収集するか。

・ データベース構築、データ公開など、データ作成に関する研究情報をどう収集するか。

・ フィールドワークなどによる地域との交流の情報をどう収集するか。

・ 数値では計れない、国際交流の情報をどう収集するか。

・ 共同利用機関としての、共同研究の情報をどう収集するか。

・ 大型機器、設備、資料等の利活用の推進に関する情報をどう収集するか。

 じつは、これらは、人文機構内に設置した別の会議、「人文系評価に関する研究会」で行っている検討内容とかなりの部分、重なります。つまり、これまで評価の対象とされてこなかった部分のデータを含めて研究者データを計画的に収集し、それを多方面の改善に利活用するというということです。機構の研究者データの整備、再構築が、人文系の研究者データとはどういうものかを示す、一つのモデルとなればと思っています。

 

人間文化研究機構
機構長 木部 暢子

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これまでの検討経緯

第3回 :令和5年6月26日(月)
(1)把握している課題への対応について
  ・研究者データの整備・活用
  ・研究大学コンソーシアムへの対応

第4回 :令和5年7月24日(月)
(1)広報体制、メディア対応の強化について
(2)研究者データの整備・活用
(3)研究大学コンソーシアムについて

第5回:令和5年9月25日(月)
(1)研究者情報活用の検討
(2)広報体制の強化とメディア対応
(3)機構締結海外協定の今後の取扱いについて

第6回:令和5年10月30日(月)
(1)広報体制の強化とメディア対応
(2)機構締結海外協定の今後の取扱いについて
(3)「機構長戦略室だより」について

第7回:令和5年11月27日(月)
(1)研究者情報の集約・活用に関する検討

第8回:令和6年1月29日(月)
(1)研究者情報の集約・活用に関する検討
(2)機構要覧(2024 年度)について

第9回:令和6年2月26日(月)
(1)研究者情報活用の今後の方針について
(2)「機構長戦略室だより Vol.2」について