寄附のご案内:人文機構基金

NIHU Magazine

人文知コミュニケーター参加の社会連携企画  

No.129
2026.01.30

 人間文化研究機構では、これまでにも味の素食の文化センターとともに食にまつわるシンポジウムを開催し、その様子を公式YouTubeチャンネルやNIHU Magazineにて発信してきました。今回のNIHU Magazineでは人文知コミュニケーターが加わり、味の素食の文化センターと共に企画を練った準備段階の様子を紹介します。

人文知コミュニケーター参加の社会連携企画

 人間文化研究機構による人文系の若手博士人材「人文知コミュニケーター」の養成事業が、2025年で9年目を迎えました。従来の養成事業を振り返ると、国立科学博物館や日本科学未来館のサイエンス(もしくは科学)コミュニケーターとの共同イベントの企画・運営がありました。その他にも、配属先となる博物館や資料館所蔵の展示品の解説といった観点から、国立民族学博物館や国立歴史民俗博物館、更に印刷博物館での博物館研修等も挙げられます。

 これまでの養成事業とは違い、今年は人間文化研究機構と味の素食の文化センターによる共催シンポジウムの企画という社会連携に携わりました。食文化に特化した本シンポジウムの企画として、テーマ設定はもちろんのこと、登壇者の人選もあります。登壇者とは、人間文化研究機構をはじめとする日本国内の研究者だけでなく、料理研究家や食品メーカーの代表者といった該当テーマにゆかりのある方々を指します。以下の人文知コミュニケーター6名はそれぞれの分野の研究者ネットワークだけでなく、配属先となる各大学共同利用機関内での人脈が期待され、今回の企画への参加に至りました。
・ヌラディ ラディティヤ氏(国立歴史民俗博物館)
・河田 翔子氏(国文学研究資料館)
・横山 晶子氏(国立国語研究所)
・駒居 幸氏(国際日本文化研究センター)
・澤崎 賢一氏(総合地球環境学研究所)
・工藤 さくら氏(国立民族学博物館)
*名前と配属先は令和7年度前期当時の情報

 今年5月、顔合わせを兼ねたオンラインによる味の素食の文化センターとの初回の打ち合わせをしました。ここでは人文知コミュニケーターから出されたテーマ案を元に、意見交換が行われました。下にテーマ案を抜粋します。
・駒居氏 去年のシンポジウムのアンケートを元にしたテーマ設定(例 日本酒、うま味)
・横山氏 おかし、特に様々な種類のグミ
・澤崎氏 映像を通したアフリカの食事の家庭生活や礼儀
・河田氏 江戸時代の版本にみる食べる様子、食のマナー

 打ち合わせ後、人文知コミュニケーター間での振り返りが行われ、6月の打ち合わせに向けて案を次の2つに絞りました。
・案1 食事マナー・礼儀、食べている様子
・案2 日本酒
 他にも登壇者の中心となるモデレーターの候補や、今回のシンポジウムのターゲット層についても話し合いました。

 続く6月の味の素食の文化センターとの2回目の打ち合わせにて、案1と案2について議論をし、案1の中でもエチオピアのコーヒーセレモニーや日本の茶道を含めたアジア圏のお茶の儀式をテーマとして絞りました。
 その後は工藤氏が中心となりテーマを掘り下げ、他の人文知コミュニケーターや人間文化研究機構の栗本英世理事を交えた機構内での打ち合わせで、コーヒーを主要テーマとすることが決まりました。次に、コーヒーを基軸としてどのような観点やモデレーターの候補者がいるかを話し合いました。
・横山氏 コーヒーは借用語として使われているが、受容先でどう変化するか?
・栗本氏 コーヒーをめぐる植民地主義や奴隷制との関わり
・澤崎氏 映画「Coffee and Cigarettes」にてコーヒーとタバコがセットになっている
・駒居氏 若年層を含む幅広い層向けのテーマ案が「コーヒーと作法」
・河田氏 登壇者としてバリスタの方はどうだろうか
・ヌラディ氏 コーヒーを含む食品は貿易が関係する
・工藤氏 西アフリカ・東アフリカでのコーヒー文化の違い、体験型の講演に民博の貸出用学習キット「みんぱっく」を使うのはどうだろうか

 7月の味の素食の文化センターとの3回目の打ち合わせにてコーヒーをテーマとすることが決まり、またモデレーターを含む登壇者について議論しました。

 その後、工藤氏が国立民族学博物館の川瀬氏にモデレーター役を打診し、承諾を経て、8月に川瀬氏を交えた第4回目の打ち合わせに臨みました。

 川瀬氏からはフィールドであるアフリカ東部のエチオピアのコーヒーセレモニーや、特に東京都葛飾区在住のエチオピア人コミュニティーの活動について言及がありました。また登壇候補者の紹介があり、少しずつ共同シンポジウムの構想が固まっていきました。

 味の素食の文化センターとの10月の打ち合わせにおいて、共催シンポジウムのテーマや全登壇者、構成が決まり、このように開催する運びとなりました。


 皆様のご参加を心よりお待ちしております。

(文責:大場 豪 人間文化研究機構 人間文化研究創発センター 研究員)
*執筆に際して、これまでの味の素食の文化センターとの打ち合わせの議事録他を参考にしました。議事録担当の河田氏にお礼申し上げます。


NIHU Magazine 記事一覧
/en/publication/nihu_magazine/129.html