展示

【歴博】「見世物大博覧会」(第3展示室)

  • 2017年1月17日 - 2017年3月20日

 今回の展示は、江戸時代から明治にかけて大いに流行し、大正、昭和を経て現代に至るまで命脈を保ってきた多種多様な見世物の様相を、主に国立歴史民俗博物館と個人が所蔵する絵看板・錦絵・一枚摺やなどの展示を通して紹介するものです。

 江戸時代以降、軽業や曲芸などの技芸見世物、一式飾や生人形などの細工見世物、ラクダやゾウなどの動物見世物などの様々な見世物は、都市の盛り場や社寺の祭礼での興行において、多彩な内容や表現を次々と創出し、老若男女を問わず大勢の見物人を魅了してきました。

 また、江戸時代には、異国から渡来した動物見世物、異国由来をうたった軽業や曲芸、異国の故事や人物や風俗を題材にした細工見世物が人気を博したり、明治時代には、西洋から伝来したサーカスや電気機器などの科学的な見世物も登場したりして、その時々の人々の異国・異文化イメージの形成に多大な影響を与えました。一方、明治の開国と共に、多くの軽業芸人が日本から海外に進出し、活躍して各地に足跡を残しました。

 こうした見世物の内容や表現は、見世物という1つのジャンル内に止まるものではなく、歌舞伎や人形芝居などの芸能、講談や落語などの語り物、読本や滑稽本などの文学といったほかの様々なジャンルと通底し、それらを享受する人々に複合的に作用することで、人々の歴史や文化に関する知識や情報や感覚の共有が形成されていきました。

 更に、多種多様な見世物の内容や表現は全国各地に伝わり、祭礼や年中行事において地域の人々自らが行う民俗芸能や造形活動として定着し、民俗文化としての広がりを持つに至りました。 
展示では、江戸時代を中心として、明治・大正・昭和を経て現代に至るまで、多種多様な内容や表現によって人々を魅了してきた見世物の実態を紹介します。併せて、そうした見世物の享受を通じて醸成された人々のハレの感覚や価値観、異文化に関する情報の受容とイメージの形成について、従来とは趣を異にする新たな理解を提示します。

 なお、既存の展示資料である「のぞきからくり」、「早竹虎吉軽業 模型」、「三尊仏」なども関連資料として紹介します。

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【国文研】通常展示「和書のさまざま」

  • 2017年1月16日 - 2017年5月27日

 この展示が対象とする「和書」とは、主として江戸時代までに日本で作られた書物を指します。堅い言葉で言えば「日本古典籍」ということになります。ただし、明治時代頃までは江戸時代の書物の系統を引く本が作られていましたので、それをも取り扱っています。
  「和書」と似た言葉で「国書」という語がありますが、これは古典籍の内で、日本人の著作した書物を言います。「和書」はそれより広く、漢訳仏典や漢籍、あるいはヨーロッパ人の著作も含め、江戸時代以前に日本で製作されたすべての書物を指す言葉です。
  一般に書物が製作されるには、それを支えまた受容する文化的背景があり、そうして製作された書物が、新たな文化──文学、芸能、思想、宗教など──を生み出す基になるという現象が普遍的に見られます。書物によって展開した日本の文化を考える上で、日本人の著作か否かを問わず、日本で製作されたすべての本を視野に入れなければならない理由がここにあります。
  国文学研究資料館は、創設以来四十年以上にわたり、全国の研究者の御協力をいただき、所蔵者各位の御理解のもとに、国内外に所在する日本古典籍の調査を継続して行ってきました。調査を通して得られた、古典籍に関する新たな知見も少なくありません。この展示には、その成果も反映しています。
  この展示では、和書について、まず形態的、次に内容的な構成を説明した上で、各時代の写本・版本や特色のある本を紹介し、併せて和書の性質を判断する場合の問題をいくつか取り上げてみました。全体を通して和書の基本知識を学ぶとともに、和書について考えるきっかけとなることをも意図しています。
  和書の広大な世界を窺うためにはささやかな展示ではありますが、以て日本古典籍入門の役割を果たすことを願っています。

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【歴博】国際展示「台湾と日本―震災史とともにたどる近現代―」 (企画展示室)

  • 2017年1月11日 - 2017年2月19日

 当館と国立台湾歴史博物館では2014年7月に学術研究交流協定が締結されました。協定事業の1つとして、国際企画展示「歴史のなかの震災」の提案がなされ、2015年11月に両館の間で「展示協力協定書」が締結されました。

 展示協力は、本館の2014年企画展示「歴史にみる震災」を踏まえた台湾側での日本震災史の紹介、台湾歴史博物館の2014〜2015年度企画展示「島嶼・地動・重生」(1999年9月21日震災15周年展示)を踏まえた本館での台湾地震史の紹介、および共通課題として、日本列島と台湾をまたぐ海溝帯・地溝帯・断層帯などの地震学的解説、および日本の台湾領有期の震災史により構成されます。

 今回の展示では、共通課題、台湾歴博震災展の主要テーマであった1999年震災関係展示、および2016年2月の震災についての紹介をおこないます。

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【歴博】くらしの植物苑特別企画「冬の華・サザンカ」

  • 2016年11月29日 - 2017年1月29日

 サザンカは日本を原産地とし、ツバキとともに冬枯れの季節に庭を彩る数少ない植物です。くらしの植物苑では、特別企画「季節の伝統植物」の一環として、2001年より冬を代表する園芸植物であるサザンカを収集し、展示してきました。これらには、「江戸サザンカ」、「肥後サザンカ」と呼ばれる独自の品種群も含まれています。

 サザンカは、自生種に近い「サザンカ群」、獅子頭の実生またはその後代と考えられている「カンツバキ群」、サザンカとツバキの間で自然にできた雑種またはその後代と考えられている「ハルサザンカ群」の3グループに大別されますが、花はグループごとに10月中頃から翌年2月にかけて上記の順に咲いていきます。これらの品種は、いずれも実生の変種から選抜されたもので、こうした品種を維持・普及する方法は、日本の園芸文化の大きな特徴といえます。

 くらしの植物苑では、人とサザンカの関わりを遺伝資源と文化的な資産の両面から着目し、生きた植物と歴史資料を併せて考察した成果を展示してきました。今年度の「冬の華・サザンカ」では、「近代のサザンカ」をテーマとし、石井勇義(ゆうぎ)が第二次世界大戦中に消えかかった系統を引き継ぎ、記録を残してきたことと、昭和30年代からサザンカに八重咲きが多くなってそのイメージが大きく変化した様子に焦点をあてた展示をします。

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【歴博】くらしの植物苑特別企画「伝統の古典菊」

  • 2016年11月1日 - 2016年11月27日

 菊は、日本を代表する園芸植物のひとつです。菊は日本在来の植物ではないが、平安時代の宮廷ですでに菊花の宴が流行していることにより、律令期に他の文物とともに中国からもたらされたと考えられています。

 平安・鎌倉時代からは日本独自の美意識により、支配者層の間で独特の花が作り出されました。筆先のような花弁をもつ「嵯峨菊(さがぎく)」は京都の大覚寺で門外不出とされ、花弁の垂れ下がった「伊勢菊(いせぎく)」は伊勢の国司や伊勢神宮との関わりで栽培されました。そして、菊は支配者層の中で宴に、美術工芸品に、不老不死のシンボルとして特権的な地位を築いていったのです。

 それが、近世中頃以降になると大衆化し、変化に富む園芸種の菊花壇や、菊細工の見世物が流行したと言われています。それらの流行を支えたのが、花弁のまばらな「肥後菊(ひごぎく)」と花弁が咲き始めてから変化していく「江戸菊(えどぎく)」です。これらに花の中心が盛り上がって咲く丁子菊(ちょうじぎく)を加えた伝統的な中輪種は「古典菊」と呼ばれています。

 くらしの植物苑では、このような「古典菊」を2000年から収集・展示してきました。今回は、「明治時代の菊ブーム」をテーマとして、華族の菊作りとその大衆化の過程を雑誌の記事や絵葉書を通じて紹介します。

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【歴博】『もの』からみる近世「百貨店と近世の染織」(第3展示室)

  • 2016年10月18日 - 2016年12月18日

 展覧会が開催されるのは、博物館や美術館などの専門施設だけではありません。百貨店も主要な場の一つです。近代において、百貨店では、新製品を売り出すにあたり、参考品として歴史的な資料を陳列することが行われました。それは、歴史的な裏付けがあるという価値を新製品に与え、所持することの趣味の良さを訴えかける効果がありました。

 本展では、「慶長風俗展覧会」(銀座・松屋呉服店、大正15年)、「近松時代風俗展覧会」(長堀橋・高島屋呉服店、大正11年)、「友禅遺品展覧会」(高麗橋および日本橋・三越呉服店、大正9年)と「友禅斎謝恩碑落成法要」(大正10年)をとりあげ、そこで実際に陳列された近世の染織品を展示します。そして、これらの染織品を百貨店がいかに利用したかを見ていくことにより、文化が発見され消費されるさまを示します。

 なお、本展は同時期に開催の企画展示「身体をめぐる商品史」の第Ⅱ章「流行の創出と「伝統」の発見」と連動するものです。

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【歴博】企画展示「身体をめぐる商品史」

  • 2016年10月18日 - 2016年12月18日

 明治末期から工業化が進展し、流通網が発達してから、新商品が開発されるたびに,人々の身体観や商品のデザインは少しずつ変わってきました。その一方で、新たな変化に対する抵抗感や過去の見直しがあって、身体観やデザインは伝統回帰を繰り返してきました。その意味で、身体に関連する商品の開発は、きわめて歴史的、文化的な営みであり、流行の発信源であったといえるでしょう。

 そこで、本企画展示では、おもに大正時代から1980年代頃までの身体観やデザインの変化を商品や雑誌、カタログ、広告などで表現していくことで、日本における身体観が変化してきた様子を服飾、レジャー、スポーツ、衛生、美容を中心として描写していくことを目的とします。

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【民博】特別展「見世物大博覧会」

  • 2016年9月8日 - 2016年11月29日

 日本では、細工物・軽業(かるわざ)・曲芸・動物見世物といったさまざまなジャンルの見世物の興行が都市の盛り場や社寺の祭を中心に盛行し、人びとを魅了しました。
 本展では、こうした江戸から明治・大正・昭和を経て現代に至る多種多様な見世物の歴史と実態を、絵看板、錦絵、一式飾りや生人形などの資料をとおして紹介します。

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【歴博】「『延喜式』ってなに!?」(第2展示室)

  • 2016年8月23日 - 2016年9月19日

 『延喜式』をご存知ですか?10世紀に作られた法制書、古代官人の業務マニュアルです。 
そこにはお祭りや宮中で使う物品の原材料、地方から納入される貢納品など、様々な内容が含まれており、さながら「古代の百科全書」ともいえます。

 『延喜式』は、全部で50巻からなる大部な内容でもあったため、難しいもの、かたくるしいものの代名詞のように用いられたこともありましたが、一方で、江戸時代以来、古代のことを調べるときには常に参照されてきた資料でもあります。

 本展では、人間文化研究機構基幹研究プロジェクト「古代の百科全書『延喜式』の多分野協働研究」「総合資料学の創成」が今年度より開始されたことをうけ、その研究成果の一端を速報的にご紹介します。

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【歴博】『もの』からみる近世「戦国の兜と旗」(第3展示室)

  • 2016年8月9日 - 2016年9月19日

 戦国時代末期、日本における戦いの装いは大きく変化しました。兜は、奇抜な形に仕立て、個性的な飾り付けた「変わり兜」が発達しました。また、鎧の背中には、「指物」と言われる旗や飾りを付けるようになりました。おそらく、大規模な集団戦が行われるようになり、活躍を認められるためには戦場で個人の存在を際立たせることが必要になったこと、そして、「カブキ」と呼ばれるような、常識破りの派手な行動や装いをすることが流行した世相が反映していると思われます。

 このほど、戦国時代の旗指物として著名な「落合左平次道次背旗(おちあいさへいじみちつぐせばた)」が修理を終えたのを機会に、この旗と当館所蔵の変わり兜類を併せて展示します。

 東京大学史料編纂所の所蔵する「落合左平次道次背旗」は、掛軸の形にされていましたが、このほど修理されて裏面も見られるようになり、合わせて科学的な調査も行われました。修理後の旗のお披露目と、調査成果の公開を兼ねて、当館での展示のはこびとなりました。

 変わり兜については、当館にはその例として知られるものが十点ほどあります。兎の耳の形をしたもの、大きなムカデの飾りが付いたもの、植物や抽象的な形の物など、斬新なデザインに驚かされます。

 そんな兜と旗から、戦国の世相に思いを馳せていただければ幸いです。

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