No.091 - 調査研究の現場から @ドイツ 日越大学(ベトナム国家大学ハノイ校)藤本 憲正(ふじもと のりまさ)さん

調査研究の現場から@ドイツ
日越大学(ベトナム国家大学ハノイ校) 藤本 憲正(ふじもと のりまさ)さん

人間文化研究機構では、機構のプロジェクトの推進及び若手研究者の海外における研究の機会(調査研究、国際研究集会等での発表等)を支援することを目的として、基幹研究プロジェクト・共創先導プロジェクトに参画する若手研究者を海外の大学等研究機関及び国際研究集会等に派遣しています。

今回は、ドイツに派遣された日越大学 (ベトナム国家大学ハノイ校)の藤本憲正さんからの報告です。

 

私は、ベトナムのハノイにある日越大学に所属している藤本憲正です。宗教学やキリスト教思想が専門です。令和5年7月2日~8月6日まで、人間文化研究機構(NIHU)の若手研究者海外派遣プログラムにより、ドイツに派遣されました。

 

この派遣では、国際日本文化研究センター(日文研)の機関拠点型基幹研究プロジェクト「「国際日本研究」コンソーシアムのグローバルな新展開-「国際日本研究」の先導と開拓-」の一員として調査を行いました。このプロジェクトは、世界各地との間の「接合域」と「多面性」という側面から、日本文化について国際研究を促進するという目標があります。私は、ドイツとの比較を通して、日本の文化の特徴や論点を明確にすることで、このプロジェクトへの貢献を目指しました。

テュービンゲン旧市街の教会堂内部
テュービンゲン旧市街の教会堂内部

 

派遣期間中は、ドイツ南西部にあるテュービンゲン大学を拠点にして、ライプツィヒ大学やミュンスター大学などの関連機関を訪問しました。具体的には、ドイツのカトリック系社会思想の現状を明らかにし、研究者との交流を深めることを目的にしました。とくに、キリスト教思想の中で、人権や民主主義がどのように受け止められ議論されているのか調べました。また、現地の研究者に日文研や日越大学を紹介しました。私の分野は文献調査を主な手段にしています。人権は世界的な共通の価値観ですが、理解の仕方は文化や宗教によって違います、今後は、今回の調査を踏まえて、日本での特徴を明確化して論文作成を進める予定です。

テュービンゲン旧市街の中心部からの町並み
テュービンゲン旧市街の中心部からの町並み

 

ドイツでは、気候変動や円安、インフレを体感しました。滞在期間の前半は、猛暑の日が続きエアコンもなく大変でしたが、後半は一転して晩秋のように涼しくなりました。テュービンゲン市は中世から続く美しい古い町並みが残り、ネッカー川が流れています。歴史あるテュービンゲン大学には、日本学科があり、日本からの留学生もたくさんいます。

日本学科の建物
日本学科の建物

 

藤本憲正(ふじもと のりまさ)
兵庫県生まれ。2018年同志社大学大学院神学研究科博士後期課程修了。博士(神学)(同志社大学)。現在、日越大学(ベトナム国家大学ハノイ校)、講師。専門は、近現代キリスト教思想、宗教間対話。主著『ハンス・キュングと宗教間対話―人間性をめぐるその神学的軌跡』、三恵社、2021年。